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国際消防情報 スペイン編
国際消防情報協会 企画調査員 神谷 早苗

歴史・習慣

ヨーロッパ南西部、イベリア半島の大半を占める王国(立憲君主国)で人口約3900万人。首都マドリードには王宮、プラド美術館、そして、有名な大闘牛場がある。闘牛は現地でBull Fight(ブルファイト)と呼ばれ、日本の相撲に相当するスペインの国技であり、各闘牛場は毎回3万人を越えるファンで埋め尽くされる。

闘牛士は、国民的ヒーローで、子供たちの憧れの的であり、男子の誰もが一度は夢見る職業であるという。闘牛によって殺された牛は、試合後、闘牛場出口で解体され食用肉として売られる(一試合見ただけ牛が可哀想になり、闘牛場を去った)。北東部のカタルーニャ地方はピレネー山脈、中央部にはメセタと呼ばれる高原がある。この地方は地中海性気候で夏は乾燥した晴天が続き、この時期は山林火災が多く、その原因の40%は枯れ草の摩擦によって起こる自然発火である。 冬は比較的雨の日が多い。同じ北東部のさらにフランス国境にまたがって位置するバスク地方は四国よりもひとまわり大きく、スペイン側に約275万人、フランス側に22万人の人々が住む。バルセロナオリンピックテレビ中継でのテロリストによる爆弾騒ぎでご記憶の方も多いと思うが、その犯行組織であるバスクの分離独立をめざす過激派組織ETA(バスク祖国と自由連盟)の本部がある。

南部のアンダルシア地方では、下町の小さな酒場からちょっとした市街のレストランなど至るところでフラメンコダンサーがギターの伴奏に乗り、陽気で情熱的な踊りと歌を見せてくれる。フラメンコは、ジプシー民族の芸能民族音楽であり、男女の愛とそのはかなさ、人が生きる意味を曲に合わせて物語風に表現するものである。

スペインのひとびとの夕食は遅く、21時〜22時から開くレストランが多い。市街に住む人は毎日と言っていいほど、夕食はレストランに行き、朝3時〜4時まで語り明かす。もちろん、朝起きるのが遅い。

ギリシャ編で、シエスタについて紹介したが、「スペインの人々は歴史的にも労働は罪人がする事であって、働く暇があったらもっと酒場に行って人生を楽しむべきだ。」と本気になって語る。そして、いつもの通り酒場に行って朝まで遊び、職場に出勤時刻ぎりぎりに出掛け、11時〜12時になると3時間〜4時間の休憩をとる。そのせいか、失業率は17%(1993年スペイン政府労働白書)と高い!!スペイン政府では、1997年にECの通貨同盟に参加するため、経済の構造改革プログラムを実施するとともに、シエスタの習慣も徐々に改善し、ひとびとの労働意欲が、どうしたら成長するか試行錯誤している。

消防事情

1、テロについてギリシャ編でも述べたが、ヨーロッパのほとんどの国にそれぞれ違った目的を持つテロ組織がたくさんあり、どの消防局も頭を悩ましている。特にスペインのマドリッド消防局では、消防装備、消防計画、内線番号、FAX番号に至るまでありとあらゆる情報の取り扱いに十分注意を払っている。

私が訪れた日(6月2日)もその前日に起こった高速道路での、自動車爆破事故の現場活動写真が会議室の机一面に広げられていた。この事故は、スペイン陸軍基地の情報処理課に勤務する、43歳の男性が事務連絡のため基地を発ち、目的地に向かって約30分後、高速道路上で何者かに仕掛けられたプラスチック爆弾が走行中に爆発し死亡したものである。

現場には高速道路警察(ハイウエイパトロール)が先着し、EMT(高速道路専門救急救命チーム)、消防が続いて現場到着した。車は運転席側(左側)がひどく大破し炎上、死体は車両後部約5m離れたところに上肢、そのまた約3m先に下肢がきれいに腰から真っ二つにちぎれており、調査員によると、爆弾は運転席の座席部分(背もたれではなくシート)に仕掛けられており、被害者の勤務時間から日程まで知っている者が、被害者を特定して狙った犯行であると言う判定だった。、、、というのは、被害者の乗っていた車は基地内の公用車で誰もが鍵の保管場所を知っており、車の貸し出し簿は使用日の一週間前に必ず本人の予約の再確認のサインをする必要があること。事故当日の朝、事故車は基地内の車庫に止められていたこと。前日は他の職員が通常どおり使用し、15時に帰地しており、その時刻から翌朝までに仕掛けられたか、その前からどこか基地外で、何日も前から日時を合わせてセットされていたかの2通りを調査員は判断していた。

驚いたことに、同じような事故が同じ基地で今年に入って3件も起こっており、基地内は職員同士が緊張し合った状態であったという。消防現場調査員のカルロス氏は「調べる方も恐いんですよ。2次災害もですけど、調査を判定したあとのお礼参りがあるんじゃないかと余計な心配をしなくちゃならない。家族が心配ですよ。やつら(ゲリラ)は何をしでかすかわからないですからね。調査書にサインせずに提出できたらいいんですけど、それでは公的に役に立たないし、一緒に調査した警察の調査班、陸軍事故調査班もそれぞれ外面には出しませんが、内心どきどきしながらやってるんじゃないかと思います。リスクが大きい割には給料は他の職員と変わらないし、かといって、他に仕事の当てもないし。」とためいきまじりに語ってくれた。

私はアメリカ映画でよくあるストーリーが現実に在るんだと感心したと同時に調査員の心配に大きく同情した。以前、テロ活動はなんらかの政治目的で行われていて、犯行組織の目安は付けやすかったが、近年は、政治とは違う次元の思想普及活動目的も多くなってきているらしい。

また、失業のうっぷん晴らしに、どさくさにまぎれてテロ活動に見せかけた殺人も増えてきているらしく、1968年〜1970年代前半のアメリカのように、失業者による市民デモや失業者の組織化、麻薬などのドラッグのさらなる汚染をスペイン政府では懸念している。マドリッド消防本部警防部長に、テロ対策について尋ねてみたが、「対策の立てようがないね。2次災害にだけは注意するように言っているが、現場に着いて、すぐにテロの仕業だとわかればいいが、実際のところ現場活動終了後、調査員の判定によってやっと推測できる程度で、結局、政府のテロリスト撲滅運動に期待するしか方法がない(ETAの活動は現在停止状態らしい。)。しかし、多くの場合その政府を組織する一部の政党、議員らがテロを動かしていることは間違いない。特に選挙前2カ月は職員に注意を呼びかけている。」と語ってくれた。

2、コンピューター・プロブレムについてマドリッド消防局では、1991年にコンピュータを導入し、通報場所自動地図検索システム、管内地理情報検索システム、建物情報検索システムなど約6億円を投資し採用したが、現在、マドリッド市が行っている都市開発プラン、再開発プランによるブロック名変更、ストリート名変更、建物変更が実行されるたびに、小規模ではあるが多回数のデータ修正のための業者依頼費がかさみ、また、容量限界近くまでデータを詰め込んだため、操作中にコンピューターがロック状態(ハングアップ状態または、フリーズ状態ともいう。)になり、一切の機能が一時的に使えなくなるなど多くのトラブルを抱えている。

指令センターのホセ氏は、「地図などの未来的に多数変更するデータに、年間日本円にして約210万円近くの予算を食われるのは問題だと思いますね。もっと報告書などの過去に残すデータの作成をはじめ電子メール、電子FAXなどのデータ通信機能や、企画書、予算要望書、予防パンフレット作成などの効率的で創造性のある用途に使って行くべきだと思います。」と語ってくれた。

他の若い職員は「地図をコンピューターで検索することが”本当に必要であったのか?”、今まで地図帳を使って十分問題はなかったのに、、。国からの補助金目当てと予算分散を考えての早合点ではなかったのか?今やコンピューターを活用し便利性を追うのはいいが、果たして何%業務の効率があがるのか、現場到着時間がうそ偽りなく計ってどのくらい短縮するのか?アフターメンテナンスも考えて計算したのか?」と厳しい批評をしていた。

おわりに

スペインと日本の国交は安土桃山時代(1573〜1603)にさかのぼり、現在でも対日関係は良好で、首相自ら日本からの投資拡大と先端技術導入に積極的に熱意を傾けている。

バルセロナで、ある日本の自動車企業支店長と食事をする機会があった。この方は滞在年数2年4カ月になるが未だにシエスタの習慣に慣れることが出来ず、フラストレーションが溜まる一方だと言う。他の国に行くと必ず母国と文化を比較したくなる。ところが、2カ月以上滞在すると比較する自分がおかしく思えてくる。郷に入れば郷に従えのとおり、そこの時間に乗った方が楽であり、また、新鮮な目で落ちついて比較文化できる。

日本でも海外旅行は未だに盛んであるが、たったの1週間やそこらの旅行で「スペインはどうの、フランスはこうの、、、」など口にすべきではないことを感じた。他の国の習慣、文化を紹介するのは非常に時間が掛かり、また、誤解を生まないような注意が必要であると感じる。

特に視察研修に行くと目新しいものすべてが“良く見え”日本に必要性がないものでも、日本は“遅れている”と判断したり、日本に“ある”もので、その国に“ない”ものはその国が遅れていると単純に判断してしまう人が多い。しかし、これは明らかに「視点と視野」の違いで誤解を招くことが多い。

誤解をしないためには、その国のバックグラウンドをよく観察した上で、“社会システムの必要性とバランス”という点から判断すべきであると私は思う。そういう意味から、これから海外消防派遣研修に行く人はまず、自分の勤務地の地域特性、消防力、組織力、さらに、日本全体の平均的な消防力を再確認し簡単に頭に入れておく必要がある。そして、世界中どこへ行っても尋ねられるのが“東京消防庁”の名前である。今までに17カ国の消防局を視察し約40消防本部を尋ねたがほとんどの場所で東京消防庁の組織力や新型ロボットの話、最新機器について詳しく聞かれた。近代消防をよく読んでいる読者はバックナンバーを確認するだけで十分であると思うが、、、。これから海外に行かれる方、消防の情報ももちろんだが、歴史や習慣、料理や酒など生活に密着したものも、しっかり見て、体験してきて欲しい。おみやげは、あなたの経験だけで十分と思う。